彼女は存在しない 浦賀和宏

私個人の読書備忘録として書いていこうかと思って始めました。

さっそくですが、本日読了した浦賀和宏「彼女は存在しない」について

ネタバレ含むので、これから読む予定だったりする方は”戻る”お願いします。



基本的には根本と香奈子という二人の視点を通して交互にストーリーが進んでいきます。
いわゆる”叙述トリックが使われている作品”だろうと思いながら読み始めたので、私としてはもしかしたら同時に進んでいるように見えて違う時間軸ではないのか?とかこの香奈子が実は根本の妹の亜矢子なのではないか?と

そして本編に散りばめられた、亜矢子の携帯ストラップの色とか自室にあった小説や雑誌についての記述その他諸々の伏線となりそうな小ネタを読みながら、香奈子と亜矢子が同一人物というのは中盤辺りで確信しました。(と同時に時間軸がずれているって線は無いなというのも確信)

しかし、根本が性的虐待の被害者であったということにはびっくり。
以前読んだ浦賀和宏氏の作品も、あたかも女性を男性であるかのように見せかける叙述トリックを使っていたので、そういった形のトリックが使われているかなとは思っていましたが、そこで来るとは…。


読み終えて思うのは、作中の半分を占める香奈子も根本もとうてい幸せとは思えない結末を迎えて終わってしまった事に対する後味の悪さはなんとも言えません。


ここ最近ですが、叙述トリックが凄い!シリーズを読み漁っていたせいか、わりと早い段階で気づいてしまいましたが、普通に読んでいれば最後に驚かされるだろうと思います。ただなかなか人には薦めづらい作品ではありますね。